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2022.10.21

今も生かされている近代建築。近代建築をつくった世界の名建築をご紹介します【ル・コルビュジェ】

□近代建築とは

近代建築とは産業革命以後の社会の建築のこと。

機能性や合理性を重視して設計されている。

鉄やガラス、コンクリートに代表される工業化された材料や、科学技術の進歩に裏付けられた構造技術を採用している。


近代建築をつくったと言われている近代建築の3巨匠

アメリカのフランク・ロイド・ライド(1867-1959)、

フランスのル・コルビュジエ(1887-1965)、

ドイツのミース・ファン・デル・ローエ(1886-1969)が近代建築の3巨匠と呼ばれています。



ル・コルビュジエが採用した鉄筋コンクリート造。「ドミノ・システム」

鉄筋コンクリートに注目し、鉄筋コンクリートの特性を生かしたドミノ・システムを提案。

鉄筋コンクリート

「圧縮力には強いが引張り力に弱い」というコンクリートの弱点を「内部に鉄筋を埋め込む」と方法で補強。

「ドミノ・システム」

鉄筋コンクリート構造を使用した新しい架構形式。鉄筋コンクリート製の柱と床板で建物の荷重を支え、階段で上下階を繋ぐ単純な構造で建物をつくる方式。

石やレンガを積み重ねて壁を建てることで建物を支える旧来の建築とは違い、柱で床を支えることで壁や仕切りは自由に設置することが可能になりました。


ル・コルビュジェが提唱した「近代建築の5原則」

フランスを代表する建築「ル・コルビュジエ」が提案した「近代建築の5原則」によって建築のあり方が激変しました。今までの伝統的な建築の概念とまったく違った反逆的な提案でした。

近代建築の5原則とは

「ピロティ」「屋上庭園」「自由な平面」「自由な立面」「水平連続窓」からなります。


「ピロティ」

2階以上の建物において地上部分が柱(構造体)を残して外部空間とした建築形式 1階部分が開放され上階部が空中に浮かんでいるかのような印象を与えます。


「屋上庭園」

伝統的な屋根の代わりにもうひとつ地面(屋上)をつくり、庭園などに活用することを指します

三角の形の切妻屋根が主流だった当時は画期的なアイデアでした。

地上にコンクリートを使用することで、屋上に植物を育てられる空間を作りました。


「自由な平面」

柱で天井と床を支えることにより、室内の壁や間仕切りの配置・移動・取り壊しを自由にしたことを指します。

ドミノシステムを導入したことで自由に間仕切りや仕切りを配置し、室内を自由にデザインできるようになりました。

「自由な立面」(ファザード)

建物自体の重みを柱で支えることで外観の装飾を可能にしたことをいいます。

外壁で建築の重みを支える旧来の建築方式では、外観の装飾が自由に出来ませんでしたが、ドミノシステムの導入により、壁面のパネルやガラスを自由に取り付けられるようになりました。


「水平連続窓」

旧来の建築では縦型の窓が多かったが、水平に連続した窓を作りました。これを水平連続窓と言います。

連続する窓から太陽の光を室内に多く取り入れることができ、窓からより広大な景色を眺めることができるようになりました。


ル・コルビュジエが残した建築

国立西洋美術館 (ル・コンビュジエが日本で唯一の建造物) ※世界遺産

1951年、東京上野

立方体の箱を柱で浮かせたような形。

1階の正面入り口にはピロティを。開放的な空間

「無限成長美術館」といわれ、美術作品が増えても必要に応じて外側へ増築して展示スペースを確保できる設計になっている。

ゆっくり視線を変えながら美術品を鑑賞できるよう設置されたスロープなど絵画や彫刻を作成していたコルビュジエの芸術家としての強みが活かされています。

国立西洋美術館 – Wikipediaより引用


サヴォア邸

1931年、フランス パリ

コルビュジエの提唱する近代建築の5原則すべてが反映されている建物として有名です。

1階部分の開放的なピロティに2階部分の端から端まで繋がる水平連続窓。 建物の重みを柱で天井と床を支えるドミノシステムによってできる空間です。

サヴォア邸 – Wikipediaより引用


ロンシャンの礼拝堂

1955年、フランス

ロンシャン地方の丘に建てられた礼拝堂。屋根裏が蟹の甲羅がモチーフと言われています。 彫刻的な曲面と丸みを持った外観と打ち放しのコンクリートの白い壁が特徴的です。

□まとめ

当時の伝統的な建築の概念とは反する提案をしていたル・コルビュジエ。

その提案は、現在の建築様式に欠かせないものになりました。

ドミノシステムや近代建築の5原則により、建築に大きな可能性を見出しました。

東京の国立西洋美術館にてル・コルビュジエの世界観を体験したいものですね。